ヴィンテージマンション「マンション四谷」リノベーション密着レポート Vol.5

「マンション四谷」のリノベーション物語、第五弾をお届けします。
1971年に建築したレトロなマンション。
50年を超える時を刻んだ一室が、どんなふうに変わっていくのか?
前回は、ボード施工やパテ処理、塗装工程を通じて、空間の面が整っていく様子をご紹介しました。
あの段階では、まだ無機質で、どこか抽象的だった室内。
しかし工事が進むにつれ、その印象は大きく変わってきました。
今回の第五弾では、建具やキッチン・洗面台といった設備が設置され、空間がいよいよ暮らしのかたちを帯びていく工程をご紹介します。
扉が入ることで部屋が形作られ、設備が据わることで生活のイメージが見えてくる。
仕上げの最終調整を重ねながら、完成へ向かう現場の変化を追っていきます。
■建具が入ると、空間は一気に部屋になる
最初に大きな変化が表れたのは、建具が設置された段階です。
それまで一続きに見えていた壁の面に、扉という可動する境界が生まれる。
この変化は想像以上に大きいものです。

今回採用したのは、ナチュラルな木目の扉。
黒の丸いドアノブが、全体を引き締めるアクセントになっています。
色味のコントラストは強すぎず、それでいて印象に残るバランスです。
ドア枠の納まり、建具と壁のクリアランス、開閉時のスムーズさ。
細かな精度が、仕上がりの質を決定づけます。

床材の施工が完了し、空間の印象が大きく変わりました。
グレーだけでなくブラウンの色味も感じられる床が入り、落ち着きの中にあたたかさが生まれています。
現在取り付けられている建具は木目の状態ですが、最終的にはグレーに塗装する予定です。
床のニュアンスに合わせてトーンを整えることで、空間全体のまとまりをつくっていきます。
養生が外れ、素材の表情が見えるようになると、仕上がりの精度もよりはっきりしてきます。
■システムキッチンが設置されると、生活のイメージが立ち上がる
次に大きな変化をもたらしたのは、システムキッチンの設置です。

白を基調としたシンプルなデザイン。
直線的なフォルム、フラットな扉面、過度な装飾を排した佇まいは、空間全体のトーンとよく調和しています。
キッチンが入ると、途端に部屋のスケール感が変わります。
「ここで料理をする」「ここに家電を置く」「ここで食事を準備する」
そんな具体的な生活のシーンが浮かび上がるのです。
収納は引き出し式。
限られたスペースの中でも、使いやすさと効率を両立する設計です。
レンジフードのダクト接続、スイッチや操作パネルの取り付け、コンロまわりの仕上げ。
一つひとつは小さな工程ですが、それらが積み重なって、日常を支える設備になります。
フローリングとの相性も良く、白いキッチンが軽やかに浮かび上がります。
■洗面まわりは、静かに完成度を上げる場所
洗面スペースも設置が完了しました。

ミラーキャビネット、シンプルな洗面ボウル、水栓金具。
どれも控えめでありながら、機能性をきちんと備えています。
特にミラーキャビネットは、収納力を確保しながら空間を圧迫しないデザイン。
タオルバーやスイッチ類の位置関係も整理され、視覚的なノイズが少ない仕上がりになっています。
洗面スペースは、毎日必ず使う場所。
だからこそ、清潔感と整然さが求められます。
白を基調にまとめたことで、光が柔らかく回り、狭さを感じさせません。
床とのコントラストも自然で、空間としての統一感が保たれています。
日常を支える安心感のある仕上がりです。
■完成手前の、張りつめた静けさ
現場確認のなかで印象的だったのは、完成直前特有の静けさでした。

床にはまだ養生材が残り、脚立や工具が置かれています。
しかし、空間全体の形はすでに定まっています。
壁面の最終チェック、建具の微調整、照明の位置確認。
表に出ることのない細かな確認作業が続いています。
パテ跡が消え、塗装面が均一になり、コーナー部分の納まりが整う。
そうした微差の積み重ねが、最終的な部屋の質感に直結します。
完成写真では伝わりにくい工程ですが、この段階こそ、仕上がりの良し悪しを分ける重要な時間です。
■光が整うと、空間は完成に近づく
ダウンライトが点灯した瞬間、空間はまた一段階、完成へと近づきました。

下地段階では強く感じられた陰影がやわらぎ、壁のトーンが均一に整います。
建具の色味がよりはっきりと浮かび上がり、床材の表情も穏やかに見えるようになります。
窓から差し込む自然光と、人工照明のバランス。昼と夕方では、印象が微妙に変わります。

夕暮れ時、窓の向こうに広がる街並みと室内の灯りが重なると、空間はより温かみを帯びます。
光は単なる明るさではなく、空間の印象そのものを決める要素です。
その最終調整が行われている今、この住戸は確実に完成形へと近づいています。
■いよいよ最終段階へ
現在、現場は最終確認と微調整の工程に入っています。
設備の動作確認。建具の開閉チェック。傷や汚れの最終点検。
どれも地味な作業ですが、品質を左右する大切な工程です。
見た目の美しさだけではなく、実際に暮らしたときのストレスがないこと。
それが完成度の本質です。
これまで積み重ねてきた工程が、ようやくひとつの空間としてまとまり始めました。
次回は、完成した状態をあらためてご紹介できる予定です。
この部屋がどのような暮らしを受け入れ、どのような価値を持つ住まいになるのか。
最後まで、工事の進捗を丁寧にお伝えしていきます。
【次回予告】
Vol.6「完成、その先にある価値」
すべての設備が整い、最終確認を終えたマンション四谷。
養生が外れ、光が均一に広がったとき、空間ははじめて完成形として立ち上がります。
次回はいよいよ、完成後の全景をご紹介。
動線、質感、光のバランス。そして、この住戸が持つ資産としての価値についても整理してお伝えします。
積み重ねてきた工程の先にある、ひとつの答え。
どうぞお楽しみに。
マンション四谷|アクセス
〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目13
JR・東京メトロ「四ツ谷」駅 徒歩3分